その第3回学習会の目玉は『タコ足ダイアグラムで望ましい行動を見つけよう!』でしたが、相変わらず学習会の準備はバタバタでわかりにくいところもたくさんあったことと思います。
学習会の中身は基本的に今年8月にK先生とともに参加したサマースクール2008(徳島ABA研究会主催)のコピーなのですが、年のせいか教えてもらったことがなかなか思い出せず、パワーポイントができてもどう説明したらよいか「うーーん・・・」と二人で悩んでいました。
でも、よーく考えてみたら私たち自身、タコ足ダイアグラムのことは学んだけど、実際に今自分が担当しているケースに当てはめて考えていないことに、ハタっと気がつき(遅すぎ・・・)、急いで学習会当日の午前中に今、気になっている生徒の行動をタコ足で分析!で、どうにか学習会に臨むことができました。
第2回の学習会では、ビデオを見ながらそのビデオから問題となる行動(B)を探し、先行条件(A)と結果(C)を探して原因の分析と解決策を考えましたが、今回はもう一歩踏み込んで望ましい行動もタコ足で分析して解決策を考えていこうというものでした。
前回同様、ビデオ(音楽の授業でサザエさん体操をしている。その中の生徒の一人がそこから抜け出そうとしている。という場面設定/ビデオに出演していただいた屋形原特支援学校の先生方ありがとうございました!)を見ながら、まずは『抜け出す』という問題行動のAとCをできる限りたくさん見つけ出すというトレーニング。
ここでは、「え~、そんなの関係ないんじゃない」という風に思考をブロックせず、ビデオの中に出てくるAとCをできるだけたくさん見つけ出して、それを元に問題行動の原因を推定することが大切。
見つけ出したAとCが少ないと、そこから推定される原因も少なくなり結局、解決策も一つか二つくらいしか思いつかず、その解決策がうまくいかないとたちまち指導が行き詰まることになりがち。だから、「たくさん見つけましょう!」と言ったところ、学習会に参加した方々からはこちらの予想を上回る数のAとCが出てきました。
そして、このタコ足ダイアグラムを見ながら原因を推定。この時点で、すでに30~40くらいの原因が各グループから出されました。
で、次は『望ましい行動』を見つけてタコ足で分析。
望ましい行動とは、本来この場面ですべき行動、問題行動と同じ結果が得られる社会的に認められる行動、問題行動よりはましな?行動などですが、では、どうして「抜け出す」という問題行動を減らす指導をするのに「望ましい行動」見つける必要があるのか?
それは、問題行動だけに着目すると、弱化や消去ばかりの指導になってしまうからです。
弱化や消去ばかりの生活って、おそらく楽しくはないだろうなーと思います。問題行動だけでなく、それ以外の行動も減っていくような気がします。
そこで、問題行動にかわる又は問題行動と両立しないような望ましい行動に着目すると、強化の指導ができます。
誉められたり認められることが増えると、おそらく毎日楽しく前向きに生活できるのではないかなと思います。そして、問題行動も減っていくと思います。
学習会前には、「ここは難しいかな・・・。」とも思いましたが、 参加された先生方は結構たくさんの『望ましい行動』を見つけることができていました。この場面でとるべき『踊る』という行動はもとより、『休みたいことを伝える』とか、『部屋の隅で休憩をする』とか、中には『我慢する』というものもありました。
さぁここまでできたら、今度はこの望ましい行動のタコ足分析。今回はこちらから『踊る』という行動に限定して望ましい行動のタコ足分析をしてもらいました。「隣の生徒はなぜ踊っているのか?」ということもヒントにしながら考えて分析してもらいました。↓
そして次はこのタコ足を見ながら『踊る』ができない原因推定。 ここでのポイントは、①好子が出現しないために強化されない。②嫌子が消失しないために強化されない。③嫌子が出現して弱化されている。④好子が消失して弱化されている。など、『望ましい行動が増えない原因推定プロンプト』の資料(いずれアップします)をヒントに考えていきました。
ここまで『抜け出す』という問題行動の原因と『踊る』ができない原因を推定しましたが、一班でなんと50~60コの原因(推定)を出してくれました!普通、1つの問題でここまで原因を推定することはなかなかできませんが、これができたというのは、もちろんABC分析の理解もありますが、タコ足ダイアグラムを使って『視考』(見て考える)したことと、グループでとにかく思いついたことをどんどん出し合った(思考をブロックしない)結果だと思います。
そしてこの原因の中から「これだ!」と思われるものを3つ選んでもらって、原因と対応する解決策を各班で考え、学習会は終了しました。
今回の学習会では、
•問題行動のタコ足ダイアグラムを描く。
•問題行動の原因推定数を増やす。
•望ましい行動を見つけ、タコ足ダイアグラムを描く。
•原因と対応した解決策の数を増やす。
ということを目標に取り組みましたが、参加された先生方同士の積極的な意見交換もあり、ほぼ達成できたのではと思います。
そして、次回の学習会では今回と同じ方法で、今自分が担当していて悩んでいるケースを分析して意見を出し合えたら・・・と考えています。より実践的な学習会にするためにも、次回はお互いにケースを出し合い、一緒に考えていければと思います。
2 件のコメント:
福岡ABA研究会の皆さん,こんにちは。
徳島ABA研究会の,いのこです。
すばらしい!!
徳島のサマースクール教材が,遙か離れたところでも研修されていて,たこ足ダイヤグラムを使ってたくさんの原因推定ができているなんて。
もう,涙がちょちょぎれます。
「抜け出す」のビデオも,作成されたんですね。
ご苦労様でした。
演習プログラムで,分からないところがありましたら,ご一報下さい。
それから,教材も提供できるものがあると思いますので,ご相談下さい。
これからも,お互いがんばりましょう。
いのこさんコメントありがとうございました。
学習会はまだ、たったの3回しかしていませんが、準備のたびに徳島で頂いた資料や本とにらめっこしながら、一緒に徳島に行ったK先生とともに、あーだこーだと言いながら教材を作っています。
準備をしていると、分かっていると思っていたことも、あやふやにしか理解していなかったことに気がつき、毎回勉強にやり直しです。学習会に参加されている先生方以上に、自分たちの勉強になっています。
毎回の教材作りにも苦労をしているので、近々アドバイスをお願いするかもしれませんがよろしくお願いします。
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