2008年12月23日火曜日

タコ足ダイアグラム

 先日(12月6日)は、この冬1番の冷え込みの中、学習会に参加していただきありがとうございました。

その第3回学習会の目玉は『タコ足ダイアグラムで望ましい行動を見つけよう!』でしたが、相変わらず学習会の準備はバタバタでわかりにくいところもたくさんあったことと思います。

学習会の中身は基本的に今年8月にK先生とともに参加したサマースクール2008(徳島ABA研究会主催)のコピーなのですが、年のせいか教えてもらったことがなかなか思い出せず、パワーポイントができてもどう説明したらよいか「うーーん・・・」と二人で悩んでいました。

でも、よーく考えてみたら私たち自身、タコ足ダイアグラムのことは学んだけど、実際に今自分が担当しているケースに当てはめて考えていないことに、ハタっと気がつき(遅すぎ・・・)、急いで学習会当日の午前中に今、気になっている生徒の行動をタコ足で分析!で、どうにか学習会に臨むことができました。

第2回の学習会では、ビデオを見ながらそのビデオから問題となる行動(B)を探し、先行条件(A)と結果(C)を探して原因の分析と解決策を考えましたが、今回はもう一歩踏み込んで望ましい行動もタコ足で分析して解決策を考えていこうというものでした。

前回同様、ビデオ(音楽の授業でサザエさん体操をしている。その中の生徒の一人がそこから抜け出そうとしている。という場面設定/ビデオに出演していただいた屋形原特支援学校の先生方ありがとうございました!)を見ながら、まずは『抜け出す』という問題行動のAとCをできる限りたくさん見つけ出すというトレーニング。

ここでは、「え~、そんなの関係ないんじゃない」という風に思考をブロックせず、ビデオの中に出てくるAとCをできるだけたくさん見つけ出して、それを元に問題行動の原因を推定することが大切。

見つけ出したAとCが少ないと、そこから推定される原因も少なくなり結局、解決策も一つか二つくらいしか思いつかず、その解決策がうまくいかないとたちまち指導が行き詰まることになりがち。だから、「たくさん見つけましょう!」と言ったところ、学習会に参加した方々からはこちらの予想を上回る数のAとCが出てきました。


そして、このタコ足ダイアグラムを見ながら原因を推定。この時点で、すでに30~40くらいの原因が各グループから出されました。

で、次は『望ましい行動』を見つけてタコ足で分析。

望ましい行動とは、本来この場面ですべき行動、問題行動と同じ結果が得られる社会的に認められる行動、問題行動よりはましな?行動などですが、では、どうして「抜け出す」という問題行動を減らす指導をするのに「望ましい行動」見つける必要があるのか?


それは、問題行動だけに着目すると、弱化や消去ばかりの指導になってしまうからです。

弱化や消去ばかりの生活って、おそらく楽しくはないだろうなーと思います。問題行動だけでなく、それ以外の行動も減っていくような気がします。

そこで、問題行動にかわる又は問題行動と両立しないような望ましい行動に着目すると、強化の指導ができます。

誉められたり認められることが増えると、おそらく毎日楽しく前向きに生活できるのではないかなと思います。そして、問題行動も減っていくと思います。

学習会前には、「ここは難しいかな・・・。」とも思いましたが、 参加された先生方は結構たくさんの『望ましい行動』を見つけることができていました。この場面でとるべき『踊る』という行動はもとより、『休みたいことを伝える』とか、『部屋の隅で休憩をする』とか、中には『我慢する』というものもありました。

さぁここまでできたら、今度はこの望ましい行動のタコ足分析。今回はこちらから『踊る』という行動に限定して望ましい行動のタコ足分析をしてもらいました。「隣の生徒はなぜ踊っているのか?」ということもヒントにしながら考えて分析してもらいました。

そして次はこのタコ足を見ながら『踊る』ができない原因推定。 ここでのポイントは、①好子が出現しないために強化されない。②嫌子が消失しないために強化されない。③嫌子が出現して弱化されている。④好子が消失して弱化されている。など、『望ましい行動が増えない原因推定プロンプト』の資料(いずれアップします)をヒントに考えていきました。

ここまで『抜け出す』という問題行動の原因と『踊る』ができない原因を推定しましたが、一班でなんと50~60コの原因(推定)を出してくれました!

普通、1つの問題でここまで原因を推定することはなかなかできませんが、これができたというのは、もちろんABC分析の理解もありますが、タコ足ダイアグラムを使って『視考』(見て考える)したことと、グループでとにかく思いついたことをどんどん出し合った(思考をブロックしない)結果だと思います。

そしてこの原因の中から「これだ!」と思われるものを3つ選んでもらって、原因と対応する解決策を各班で考え、学習会は終了しました。

今回の学習会では、

•問題行動のタコ足ダイアグラムを描く。
•問題行動の原因推定数を増やす。
•望ましい行動を見つけ、タコ足ダイアグラムを描く。
•原因と対応した解決策の数を増やす。

ということを目標に取り組みましたが、参加された先生方同士の積極的な意見交換もあり、ほぼ達成できたのではと思います。

そして、次回の学習会では今回と同じ方法で、今自分が担当していて悩んでいるケースを分析して意見を出し合えたら・・・と考えています。より実践的な学習会にするためにも、次回はお互いにケースを出し合い、一緒に考えていければと思います。

2008年12月6日土曜日

第3回学習会資料をアップしました。

今日は学期末で何かと忙しい中、おまけに雪が舞いとても寒い1日でしたが、それにもかかわらず、12名の先生方が学習会に参加されました。参加された先生方ありがとうございました。

早速ですが、本日の学習会の資料をアップしましたので必要な方はダウンロードしてください。

(1)ABC分析の基礎(1)復習用

(2)ABC分析の基礎(2)復習用

(3)タコ足ダイアグラム

(4)チームワークシート

学習会の様子や参加された先生方が描かれた『問題行動のタコ足ダイアグラム』『望ましい行動のタコ足ダイアグラム』の写真などは近々、ブログにアップしたいと思います。

2008年11月29日土曜日

第3回 ABA(応用行動分析学)を学ぶ会のお知らせ

第3回 ABA(応用行動分析学)を学ぶ会のお知らせをします。

日時 : 12月 6日(土)
      13:30~16:00
場所 : 福岡市立 屋形原特別支援学校

学習内容
  1)前回の復習(ABC分析の基礎・・・強化・弱化、嫌子・好子、消去)

  2)たこ足ダイアグラムで『望ましい行動』を見つけよう(演習)

  3)その他(時間があれば、それぞれ自分が持っているケースをたこ足ダイアグラムで分析します)


連絡が遅くなりましたが、予定通り12月 6日(土)に行いたいと思います。年末&学期末で忙しい時期なので、都合がつかない方もおられましたが(すみません・・・)、一人でも来られる方があれば行いたいと思います。

なお、今回も前回の復習から行いますが演習に時間がかかると思われるので、復習は少し短めにしたいと思います。そこで、以前に紹介をしていた『ネットで学ぶ行動分析学』での復習をお勧めいたします。

では、12月 6日(土)にお会いいたしましょう。

2008年10月19日日曜日

第2回学習会資料をアップしました。

先日、学習会に参加された先生方お疲れ様でした。
相変らずこちらの準備不足でどうなるかなと心配しましたが、
各グループでの話し合いが盛り上がっているのを見て安心しました。

学習会の様子や先日出た疑問質問には、今後少しずつ答えていきたいと思いますが、とりあえず、学習会で使った資料をアップしておきますので、必要な方はダウンロードしてください。

1.好子・嫌子テスト

2.ABC分析の基礎(2)-消去について-

3.タコ足ダイアグラム

ダウンロードの仕方については先日、伝えたとおりです。
何かわからないことがありましたら、書き込んでください。

2008年10月11日土曜日

第1回学習会資料をアップしました(2)

第1回学習会の資料の続きです。
初めての学習会主催で、時間配分や内容に不備があったかもしれませんが、みんなで作り上げる学習会にしていきたいと思います。

アップした内容は

・ABC分析の基礎(学習会用)

・ABC分析 練習問題

・練習問題 解答用紙

2008年10月6日月曜日

徳島ABA研究会へのリンク貼りました

そもそもこの学習会を始めたのは、2005年と2008年におこなわれた徳島ABA研究会主催のサマースクールに参加し、「応用行動分析っておもしろそー」って思ったことがきっかけです。

その徳島ABA研究会のホームページへのリンクを貼りました。

このホームページからは、サマースクールで使われた教材(PDF)や他の研修会で使われた資料をダウンロードできたり、色々な行動分析学に関する研究の紹介を見ることができます。

是非一度のぞいてみてください。きっと勉強になると思いますよ。

2008年9月30日火曜日

第2回 ABA(応用行動分析学)を学ぶ会のお知らせ

第2回 ABA(応用行動分析学)を学ぶ会のお知らせをします。

日時 : 10月18日(土)
      13:30~16:00
場所 : 福岡市立 福岡中央特別支援学校

学習内容
 1)前回の復習(行動の定義・具体性テスト・ABC分析の基礎① )
 2)ABC分析の基礎②
 3)課題分析

この学習会を開くきっかけとなった徳島ABA主催のサマースクールで、スーパーバイザー的存在の法政大学の島宗理先生が主催するサイト『ネットで学ぶ行動分析学』の中に、『特別支援教育のための応用行動分析学(初級コース)』というコーナーがあります。

このコーナーでは、ABAに関する基礎的な知識をWeb上で学ぶことができ、ユーザー登録も無料です。是非、このサイトで復習、予習して参加されることをお勧めします。(でも、このサイトで勉強したら学習会にはこなくてもよいかも・・・)

※学習会への参加を希望される方は、掲示板にてお知らせ下さい。

2008年9月22日月曜日

第1回学習会資料をアップしました。

第1回学習会のパワーポイントなどをアップしました。リンクの「WebFile」をクリックしてください。アカウント&パスワードは次の学習会のお知らせをしてくれた先生に聞いてくださいね。


1)学習会の概要

2)行動分析学について

3)まずはここから・・・

4)指導目標を立てよう
 以上 パワーポイント

5)解答用紙(Word)


ABC分析の基礎①の資料は後日アップします。

2008年9月21日日曜日

学習会への参加ありがとうございました。

先日(9月20日土)は、学習会に参加していただきありがとうございました。今津・生の松原・福岡中央・屋形原・東福岡の各特別支援学校の先生方19名の参加でした。

こちらの準備不足もあり、予定よりも長い時間になりましたが、最後まで熱心に参加していただきありがとうございました。説明の中でわかりづらかったところなどたくさんあったと思いますが、紹介した本やwebで調べていただけると幸いです。また、このブログの掲示板の方に書き込んでもらったら、できる限り答えていきたいと思っています。

 さて、先日の学習会の前半のユニットで行動の定義を『死人テスト』を使って行いましたが、しっくりとこなかった項目(たとえば、夢を見るは○で、だまるは×・・・など)もあったかもしれません。


その時にうまく説明できなかったのですが、行動分析学で扱う「行動」という用語と、日常生活で使っている「行動」という言葉はそもそも違うと思ってください(無理矢理ですが)。

大切なことは、指導目標を設定するときに「~しない」という死人型より、「~する」という行動型で設定したほうが指導のアイデアも広がるということです。

以下に徒然なる随伴性日記(徳島ABAの旧ブログです)の引用をのせておきます。

 
 
愛と恋と死人テスト!!

授業で死人テストを学びました。死人テストを学ぶと子どもの指導目標や日常の指導方法などがより明確になります。私も学校で次のような指導をよくしていました。廊下を走らない、先生にくっつかな い、~をしません、静かにしなさい、友だちの悪口を言わない…
死人テストとは死人でもできることは行動ではないのです。行動とは死人テストをパスできる活動、すなわち、死人にはできない活動はすべて行動なのです。はじめて聞いたときは本当にぶっそうな言葉だと思いますが個別の指導計画や子ども達の週目標を立てるときは本当に役立ちました。確かに指導目標を設定するときに「~しない」という死人型より、「~する」という行動型で設定したほうが指導のアイデアも広がります。例えば、友だちを呼び捨てにしないという週目標を次のように書き換えたことがありました。「友だちを呼ぶときは~さん、~くんと呼ぶ。」確かに、こちらの行動型のほうが子ども達にも分かりやすいし、週目標が達成したかどうかも分かりやすいです。
それじゃぁ…突然ですが恋愛と死人テストについて考えてみましょう。メールがくるのを待っている、デートに誘ってもらう、大好きって言ってもらう、手を握ってもらう…
こうした「受け身」、~してもらうという受け身行動も行動ではありません。死人にもできるからです。友だち関係、友だち以上恋人未満、恋人、夫婦。死人テストでは、受け身行動は行動ではないのです。大好きな人ができたら、メールを打つ、デートに誘う、大好きって言う、手を握る…。これらは、もちろん死人にはできない活動なのですべて行動ですよね。こうして考えると大切な人のことを考えるとき、ぶっそうですが死人テストは一つの示唆を与えてくれますよね。愛や恋も「~する」行動型がきっと上手くいくんだろうな。そんなことをぶっそうな死人テストから考えちゃいました。今の私は完璧な受け身行動です。大切な人には行動できていません。
でも、大丈夫です。受け身で内気なあなた(私もですが)!「大好きな人のことを考える」これは行動です!!よかった、よかった!!私個人の言い訳ですが…。死人テストは友だち関係、友だち以上恋人未満関係、恋人関係、夫婦関係…いや、人類、世界を救うかも。大きなことを書いてしまいました。今から大好きなミスチルの歌詞を死人テストでチエックしたいと思います。